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2010年12月03日

【流通】沖電気工業 車両への取り付け容易な超小型の車々間通信装置を開発

沖電気工業は、車両間または車両と歩行者間の直接通信(以下:車々間通信、歩車間通信)を実現する、世界最小クラスとなる超小型サイズの車々間通信装置(以下:簡易小型IVCユニット)を開発した。車々間通信に使用するアンテナ、LED/ブザーによる簡易表示、GPS(※1)モジュールおよび加速度センサなど、外付けで装備していた部品を装置へ内蔵し、従来品より一挙に約1/11の小型化を実現した。同装置の小型化により、車両のインストルメントパネル上部やフロントガラスなどへの搭載を想定した検証も可能となり、車々間通信の実用化に向け大きく寄与する。

現在、安全・安心な道路交通の実現に向けて、安全運転支援用車々間通信システムの開発が進められている。沖電気工業は車々間通信の開発で培った技術を応用し、2007年5月には、国民の8割以上に普及している携帯電話を活用した、歩行者安全支援の可能性を示す「安全携帯端末」を発表した。さらに2009年1月には、システムの評価、歩行者安全支援アプリケーションの検討および効果検証をより容易とするために、国内の携帯電話に接続して使用することができる「安全携帯アタッチメント」の試作にも成功した。

「簡易小型IVCユニット」は、「安全携帯アタッチメント」のハードウェア技術をさらに発展させ、車載機へ適用したもので、同社にて開発してきた従来の5.8GHz帯車々間通信装置の約1/11の容積となる、50mm×57mm×26mmの装置サイズを実現した。また、従来はケーブルにて外部接続していた車々間通信用アンテナ、LEDやブザーなどのサービス提供用表示装置、GPS受信器およびアンテナ、加速度センサとジャイロセンサも内蔵したため、外部接続機器を必要とせず、車両への搭載方法もより簡単に実現できるようになった。具体的には、インストルメントパネル上部、フロントガラスなどへの設置を想定している。

「簡易小型IVCユニット」の利用により、内蔵のGPSからの位置情報を車々間通信機能により周辺車両へ通知するとともに、周辺車両の位置情報を取得することが可能になる。また、車両相互の位置関係により衝突事故発生の可能性を検出した場合に、事前に注意喚起を行うことが同装置のみで可能となる。これにより歩行者・道路・車両間の通信システムへ技術的貢献を果たすとともに、交通事故低減の実現に寄与する。

今後は同装置をベースに、通信性能をさらに向上させ、またシステム構築の技術開発を進めるとともに、安全支援アプリケーションのみならず、快適走行支援や環境効率走行支援への適用検討も進めていく。またUHF帯の車々間通信機能の実装やIEEE802.11p(※2)への拡張開発も計画している。



【用語解説】
※1 GPS(Global Positioning System)
全地球測位システムと言い、地球上の現在位置を調べるための衛星測位システム

※2 IEEE802.11p
DSRC通信向けの規格として、ネットワークや各種インターフェースの規格を決める活動を行っているIEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers Inc.)で現在検討されている

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通