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2010年12月01日

【流通】二酸化炭素をほぼ常温・常圧でハイドレート化し分離・回収する技術を開発

JFEエンジニアリングは、二酸化炭素をほぼ常温・常圧でハイドレート化し、分離・回収する技術の開発に、世界で初めて成功した。

二酸化炭素を含む水を特定の圧力下で低温にすると、二酸化炭素のみがシャーベット状の固体(ハイドレート)になり、分離・回収が可能になる。このことは古くより知られていたが、高圧・低温(※1)にするランニングコストが高いため、実用化は困難であると考えられていた。同社は、二酸化炭素を微細気泡化して水と混合した上で、「ネオホワイト」(※2)を微量加えると、二酸化炭素のハイドレート化が促進され、それに必要な圧力・温度条件が大幅に緩和される現象を見出した。

「ネオホワイト」とは、JFEエンジニアリングが新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同開発した蓄熱媒体であり、7℃程度でハイドレート化する新しい物質です。この技術を発展させることで、二酸化炭素のハイドレート化に必要な圧力や温度条件をコントロールすることが可能になった。ベンチ試験では、ほぼ常圧・常温(※3)でも二酸化炭素をハイドレート化でき、その分離・回収が可能であることを確認した(※4)。

この結果、ランニングコストを大幅に削減できることになり、実プラント規模では、二酸化炭素トンあたり2,500円程度のコストでの分離・回収が可能になる。既存技術である化学吸収法と比べ、吸収した溶液から二酸化炭素を分離するために必要な熱エネルギーが不要のため、より広範な排出源に従来(※5)の半分程度のコストで適用できる。

今後は、火力発電所や製鉄所などの燃焼排ガスからの二酸化炭素分離・回収プラント(30〜100万t/年)を前提に、更なる大型設備での実証試験を目指す。


※1 高圧・低温
例えば、温度5℃の場合、2.2Mpa以上にすることが必要

※2 ネオホワイト
JFEエンジニアリングが新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同開発し、商品化している蓄熱空調システムの蓄熱材(水和物スラリ)の商品名。氷が0℃で固体になるのに対し、ネオホワイトは空調温度に適した5℃〜7℃でハイドレートを形成してスラリ状となり、冷熱を蓄熱する空調システムの冷房効率を大幅に高めることができる。ネオホワイト蓄熱空調システムは、既に国内外に多数の実績がある

※3 ほぼ常圧・常温
圧力=0.11MPa、温度=18℃

※4:鶴見製作所内のベンチ試験設備(下写真)にて確認。処理能力:3t/日

※5:経産省技術戦略ロードマップ2010「CO2固定化・有効利用分野の技術マップ(技術リスト)(分離・回収)」では「4,900円〜5,800円/t−CO2」および「4200円/t−CO2」と記載

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通