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2010年03月23日

【流通】大林組 山岳トンネルの切羽前方探査システム「トンネルナビ」を開発

--- 信頼性の高い地質予測によるコスト縮減、工程並びに安全性の確保を実現 ---

大林組は、山岳トンネルの切羽前方の地質を高い精度で予測するノンコア削孔切羽前方探査システム『トンネルナビ』を開発し、各地のトンネル工事で導入している。事前に切羽前方の地山状況を把握することで、支保部材を最適な仕様で無駄のない数量を発注することができるとともに、最適な補助工法の選定によって、切羽の崩落や変状を未然に防止するなど、コストの縮減、工程並びに安全性の確保を実現する。

山岳トンネル工事では、安全で合理的な施工を行う上で、工事の支障となる断層破砕帯などの地質の悪い地山を高い精度で予測することが不可欠とされる。これまで切羽前方の予測には、先進ボーリング(※1)やトンネル坑内での弾性波探査など様々な手法が試みられてきたが、日常的に利用できる施工管理技術として、トンネルの掘削現場(切羽)に常駐している施工機械「油圧ジャンボ」を利用した“ノンコア削孔調査(※2)”に大きな期待が寄せられていた。

ノンコア削孔調査は、専用の計測システムで掘進速度あるいは掘進に要するエネルギーを測定し、切羽前方の断層破砕帯の有無や風化変質などの地山の予測評価を行う。しかしながら、断層破砕帯などの地質の悪い地山では、掘進速度や掘進エネルギーが複雑に変化するため、地山の予測を正確に行うことは非常に困難だった。

大林組が開発した『トンネルナビ』は、今までの施工および各種実験データの分析や、様々な地質条件下での計測と検証に基づいて、掘進速度とフィード圧(※3)を組み合せた新しいパラメータによるノンコア削孔切羽前方探査システム。

『トンネルナビ』では、従来の掘進速度に基づいた掘進エネルギーではなく、掘進速度とフィード圧を組み合せた新しいパラメータによって、(1)断層破砕帯や風化変質帯の検出、(2)地山の硬軟の判定、(3)地山分類(※4)の判定を行う。さらに、トンネル内での湧水の特性、軟らかい地山での膨張性・押し出し性の判定、3次元的な破砕帯分布の推定など従来のノンコア削孔調査に比べて、様々な地山の特性を高い精度で予測評価する。

『トンネルナビ』は、短時間の調査作業でデータを取得し、更に、工事事務所に設置したパーソナルコンピュータで解析から画像化までを瞬時に行うことができる。このように、事前に切羽前方の地山状況を高い精度で把握することで、支保部材を最適な仕様で無駄のない数量を発注することができるとともに、最適な補助工法の選定によって、切羽の崩落や変状を未然に防止するなど、コストの縮減、工程並びに安全性の確保を実現する。 

※1 先進ボーリング:
専用のボーリングマシンを持込んでボーリングを行い、岩石試料(岩石コア)を採取する調査予測技術
※2 ノンコア削孔調査:
「ノンコアボーリング」、つまり、岩石コアを採取しないボーリングを意味する。ノンコアの場合は、現場にある油圧ジャンボを用いるため、専用のボーリングマシンは用いない
※3 フィード圧:
掘削用ビット(刃先)を押し込む力
※4 地山分類:
トンネルの支保パターンを決めるため、地山の良し悪しを判断するための分類基準

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 10:03| 流通