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2009年11月24日

【流通】名古屋大学と富士通 振り込め詐欺防止などに向けた「行動モデルに基づく過信の抑止」を研究開始

--- 基礎学理の研究と、「振り込め詐欺防止」と「交通事故抑止」の実証実験 ---

科学技術振興機構(以下:JST)が実施する目的基礎研究事業である戦略的創造研究推進事業(以下:CREST)の平成21年度新規採択課題として、名古屋大学大学院情報科学研究科 武田一哉教授を研究代表者とする「行動モデルに基づく過信の抑止」が採択された。これに基づき、名古屋大学と富士通は、振り込め詐欺防止などに向けた研究を開始した。

名古屋大学と富士通は、「行動モデルに基づく過信の抑止」の基礎学理の研究を行い、「振り込め詐欺防止」と「交通事故抑止」を目的とする実証実験に着手する。この研究は、情報と物理を統合する視点から人間行動の数理的モデルを研究し、行動に内在する「人間の状態」を理解する方法を研究するもので、「振り込め詐欺防止」のための技術や、「交通事故抑止」のためのシステムと人間との「過信」を検出する技術に応用する。

研究期間の前半で、警察庁(以下:警察大学校)と名古屋銀行(以下:名古屋銀行)に協力のもと、振り込め詐欺誘引通話の時の、被害者の異常な心理状態での発話や行動を検出する技術を開発し、実証実験を実施する。これにより、被害者に異常な心理状態におかれた電話であったことをアラームし、通話内容を落ち着いて再考する機会を作る。

研究期間の後半では、ドライバーの「認知・判断・運動」機能の低下や車載された音声対話システムによるドライバーや利用者の「とまどい」を検出する実験等を実施する予定にしている。

分散センサ、信号処理、認識理解、データベースなど、情報システムはあらゆる面で飛躍的に発展を続けているが、それを利用する人間の「認知・判断・運動」能力には限界がある。人間がその時点で発揮しうる能力と、システムが人間に想定する機能との間に齟齬がある場合、両者の間には「過信」が生じる。「過信」状態では本来人間が持つ能力が阻害され、結果としてシステムがそれを利用する人間の意図とは全く異なる動作をする場合がある。

(過信状態の例)
「振り込み詐欺」で通話相手を親類だと思い込んで暗証番号を教えてしまったため、
 システムが普段は使わない遠隔のATMでの引き落としを正常処理として受け付けてしまう場合

情報システムの社会的重要性が高まるに従い、「過信」が思わぬ事件や事故につながる脅威となりつつある。従って本研究では、人間行動に内在する「認知・判断・運動」特性を統合的にモデル化し、観測された行動からその時点での人間の内的状態を把握する方法を確立し、「過信」を招かない情報システムの構築を図る。

警察大学校警察情報通信研究センターにおいては、深刻な社会問題化となっている「振り込め詐欺」に対し、携帯電話等で誘引通話されることに着目し、その被害の危険を検出する技術の研究開発の必要性から、独自の誘引通話の収集・分析を行うとともに、「人の音声等生体情報により異常状態を検出する技術の研究開発」を行う共同研究者を募っていたため、名古屋大学と富士通は、音声処理と行動理解を用いる誘引通話検出技術について、共同研究開発をすることを企画提案し、この研究の実験協力に至ったもの。さらにこの研究では、金融機関のATMなどが利用されて犯罪が行われることに鑑み、名古屋銀行の協力を得て、実環境下における「振り込め詐欺防止」の実証実験による技術開発を行うとともに、防止対策全般を検討するなど、より実用化を目指した研究を実施する。

基礎学理の研究に加え、名古屋大学と富士通と警察大学校および名古屋銀行とで連携し、研究成果を「安心・安全」の視点から応用システムに利用可能な実用技術にまで高める予定にしている。

 

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投稿者:gotsuat 10:03| 流通