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2009年09月08日

【流通】大日本印刷と東京大学 セキュリティ媒体などの用途向け「ナノフォトニック階層型ホログラム」を開発

--- 新たなセキュリティ媒体や光機能部材用途へ展開 ---

東京大学大日本印刷(以下:DNP)は、ホログラムの立体画像を損なうことなく、読み出し可能な情報を付加することができる「ナノフォトニック階層型ホログラム」を開発した。

このホログラムは、東京大学の大津元一教授を中心とした研究グループのナノメートルの世界の現象を探求するナノフォトニクスの研究と、DNPのホログラム製作ノウハウと微細加工技術を融合させたもので、既存のホログラムパターンに近接場光(※1)でのみ読み取ることのできる光の回折限界(※2)以下のナノサイズの情報を埋め込むとともに、その情報の読み取りに成功した。

DNPは、半導体用回路原版であるフォトマスクやディスプレイ用光学機能性フィルム、各種ブランド品の偽造防止や模倣品対策に使用されるホログラムなど多くの微細加工製品や光学機能性製品を開発してきた。その製品のひとつであるホログラムは、ホログラムの表面に光の干渉縞を微細な凹凸加工で記録して立体画像を再現するものだが、製造技術の進歩とともに、常に高いセキュリティ性の確保が求められている。人間の眼に見える光の波長は、青色で約400ナノメートル程度までとなっており、それ以下のサイズの構造は光の回折限界のため、光学顕微鏡などを用いても見分けることができない。このことは、我々の眼に見える光は、波長寸法より小さい構造の影響を受けないことを意味している。また、光の波長より小さい物の表面付近には、近接場光と呼ばれる微小な光が存在している。

東京大学は、この近接場光を活用したナノフォトニクスを研究しており、光の波長寸法より小さいナノメートルの世界で特徴的に生じる現象を活用した技術開発を進めてきた。

今回、東京大学とDNPは、従来のホログラムに対して、近接場光によってのみ読み取ることのできる情報レイヤーを新たに付与したナノフォトニック階層型ホログラムを開発した。東京大学がナノサイズの構造設計と読み取り、DNPがホログラムパターンの設計と微細加工をそれぞれ担当し、これらの融合により本ホログラムが実現した。

ナノフォトニック階層型ホログラムの近接場光レイヤーでは、近接場光の階層性を生かして、さらに多くの階層での情報の入力ができるので、今後、ホログラムパターン内部において、近接場光の特徴をより顕著に発現させるためのパターンの最適化や、近接場光レイヤーの簡易読み取り方式などの開発をさらに進め、セキュリティ性や機能性を一層高めていく。また、光の回折限界より小さな世界における主役であるナノフォトニクスは、セキュリティ用途のみならず、光機能部材用途などに向けても有望であり、新たな用途の開発にも取り組んでいく。



※1:光の波長よりも微小な物質構造に光を当てた際に、その物質構造の表面に発生するが遠くへ伝搬してゆくことがない特殊な光のこと。

※2:光が波の性質をもつために、その波長より小さいスケールを扱うことができないという限界のこと

 

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投稿者:gotsuat 10:03| 流通