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2009年05月07日

【知識】ヤマハと産業技術総合研究所 歌声合成パラメータ推定技術の実用化で連携

ヤマハは、歌声合成ソフトウェアVOCALOID(ヴォーカロイド)へのデータ入力支援へ応用可能な技術VocaListener(ボーカリスナー、略称「ぼかりす」)に関して、研究開発元である産業技術総合研究所からライセンスを受け、一般向けサービスの実用化に向け共同開発を進めている。その第一段階として、まずはVocaListenerの基本技術をネットワーク上のサーバーで動作する「Netぼかりす」として試験サービス展開した後で、機能の拡張を順次進めてゆく。「Netぼかりす」はVOCALOIDを使った音楽制作に必要なデータ入力時の労力の削減、また歌声合成品質の向上に貢献できるサービスとして、既存のパソコンによるVOCALOID環境で動作するだけでなく、NetVOCALOIDと連携させての展開も目指す。

VOCALOIDは、歌詞とメロディーを入力するだけで楽曲のボーカルパートを制作できる歌声合成ソフトウェアで、2003年にヤマハが開発、ライセンス販売を開始した。VOCALOIDのライセンスを受け「初音ミク」や「がくっぽいど」などのソフトウェアが発売され、ユーザーが、こうしたバーチャルシンガーを使用して、個人あるいはオンライン上の共同作業でオリジナル曲を創り、歌わせ、その楽曲をニコニコ動画やYouTubeなどの動画ポータルサイトに発表したことから爆発的な話題を生み、社会現象となるほど人気を博した。これらのバーチャルシンガーを各ユーザーが、制作者としてイメージ通りに歌わせるためのユーザーのスキルも向上し、その歌声は多くのリスナーの心をとらえた。こうした歌声合成ソフトウェアの認知が急速に高まる中で、さらにリアルな歌声を合成させたい、もっと手軽に歌声を合成してみたいというユーザーが増えている。 

VocaListenerは、VOCALOIDにこのように歌わせたいと考える目標歌唱を録音した音声ファイルからVOCALOID専用のパラメータを自動推定できる技術で、VOCALOIDの専用エディターを使う際に必要とされるスキルや作業時間を軽減させ、手軽に高品位な歌声合成結果を得ることができる。

VocaListenerをネットワーク上のサーバーで動作させる「Netぼかりす」のサービス展開への第一段階として、現在、基本技術の一部を備えたα版を開発中で、VocaListenerから一般向けサービスにとって有用と思われる機能のみを簡略化して抜粋し、それに独自の拡張を加えて開発した。具体的な機能としては、入力(アップロード)された目標歌唱の音声ファイルとそれに対応する歌詞テキストファイルをサーバー上で解析し、指定されたバーチャルシンガーで最適な合成結果が得られるようにVOCALOID用の歌声合成パラメータファイル(VSQファイル)を出力(ダウンロード)する。NetぼかりすはNetVOCALOIDとの連携も検討しており、ユーザーインタフェースに新たな価値を付加できる技術として様々なプラットフォームでの応用も提案していく。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 10:20| 知識