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2004年08月10日

【流通】水産総合研究センター、沖縄の高級魚「シロクラベラ」の量産化に目途

――地方特産品 ブランド戦略時代――

独立行政法人水産総合研究センター八重山栽培漁業センターでは、地域のニーズに応えるため、平成12年から本種の親魚養成と種苗生産技術の開発に取り組んできた。
シロクラベラはベラ科イラ属に属し、全長1m、体重は10kg以上に達する魚。沖縄本島以南から西部太平洋の珊瑚礁域に分布し、沖縄県内ではマクブーと呼ばれ、3大高級魚の一つとして珍重されている。近年その漁獲量は減少傾向にあり、沖縄県では資源管理に必要な生態調査等を行うとともに、資源回復の手段としての種苗放流や養殖対象魚種としての可能性などの面から、種苗生産の技術開発を早急に行う必要がある魚種として挙げられている。
本種は他のベラ類と同様に雌性先熟型の性転換を行うため、種苗生産に必要な卵を安定的に確保するには雌雄の確実な判別が必要となる。そこで、生殖腺の組織を直接採取して調査する方法(生検法)を用いることにより、確実に雌雄を判別できるようになった。また、この雌雄判別技術を用いて、最適な産卵条件を検討した結果、成熟した雄1尾に対して、6尾の雌の組み合わせで自然産卵させることが最適であることがわかり、平成16年には、105.3万粒の受精卵を得ることに成功した。さらに、得られたふ化仔魚を用いて飼育試験を行った結果、全長23mmの種苗を約6万尾生産(平均生残率47.0%)することに成功し、種苗量産の可能性が開けてきた。
生産した稚魚は、全長約7mm(日齢20)頃から水槽内で物陰に隠れる習性が観察されていることから、珊瑚礁の発達した亜熱帯島嶼域での放流に適した習性を持った魚種であると考えられるという。また、種苗生産時の生残率が高く、ネットなどによる取り揚げ時の取り扱いに極めて強いこと、共食いが全く観察されないことなどから、養殖にも適した魚種であるとのこと。
地球温暖化などの影響で地方名産などと呼ばれるような希少品種の魚介類の漁獲量減少の対策として、養殖という手段は今後注目されてくるだろう。こうした養殖技術の発達は、希少性の高い業界類を、消費者が手に入れやすくなる事から、流通拡大につながるが、一方では地域特有の魚介類のブランド化、商標化が盛んになるなど、養殖技術の発達に伴って、地域特産としてのブランド戦略がより一層高度化してくることが考えられる。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 13:42| 流通