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2004年09月01日

【知識】日立と東芝と松下、テレビ向け液晶パネルの合弁会社設立で基本合意

日立製作所、東芝、松下電器産業の3社は、薄型テレビ向け液晶パネル製造、販売の合弁会社を共同で設立することで、8月31日に基本合意した。合弁会社は2005年1月の発足を予定している。
現在、テレビ市場においては、省スペースで高画質・大画面映像が視聴できる薄型テレビが伸長しており、中でも液晶テレビの世界需要は2003年に約300万台であったのが、2006年には約5倍の市場規模になると見込まれている。更に、消費者からのハイビジョン・クラスの高画質化に対する要求は益々高まり、ハイエンド市場向けテレビメーカーの各社は、独自の映像処理エンジンに加えて、高画質な液晶パネル使用による差別化が必須となってきている。一方、液晶パネルメーカーとの合従連衡を含めた世界規模の事業競争が激化しており、テレビメーカーにとっては、高品質なパネルを安定的に低価格で調達することが重要課題となっている。
こうした状況下、日立、東芝、松下の3社は、日立ディスプレイズが世界をリードして開発してきたIPS方式(TFT液晶表示方式の一つで、電圧がかかると液晶分子が基板と平行に回転するため、広視野角に加え、見る方向による色調変化や白から黒までの全階調での色調変化が少なく、上下左右170度視野角のどこから見ても自然な画像が表示できる。)の液晶パネルを生産する合弁会社を共同で設立することとした。テレビ向けに最適な液晶パネルを安定的に調達し、3社それぞれが、ハイエンド市場向け液晶テレビ事業の競争力強化を図る。一方、合弁会社は、3社を主要な顧客として、投資効率の高い製造ラインの安定的な操業を実現し、高画質だけでなく低コスト性にも優れるIPS方式液晶パネルを量産することが可能となる。また、3社及び合弁会社は、セットメーカーとパネルメーカーとしての緊密な連携により相乗効果を発揮し、性能的にも価格的にもより競争力の高い液晶パネルや液晶テレビを提供していく。
巨大な成長市場と化す薄型液晶テレビ市場で日本を代表する3社が製品製造過程のコアのひとつである液晶パネルの調達ラインを共同化することは、外資系企業など同業他社との売り上げシェア競争を意識したものである。今後市況の変化などにより3社間におけるパネルの発注量、合弁会社への追加設備投資額など様々なシチュエーションで調整が必要な場面も出てくることが考えられるが、競合企業同士のロジスティクス的な協力体制に注目すべき点があるといえる。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 11:48| 知識