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2004年10月25日

【知識】伊藤園、オーストラリアに建設した緑茶の荒茶工場が生産開始

伊藤園の連結子会社 ITO EN AUSTRALIA PTY.LIMITED(以下、豪州伊藤園)は、オーストラリアで初めての緑茶の荒茶工場をビクトリア州のワンガラッタ市に建設し、10月20日に開所・稼動した。
この工場は、荒茶という、収穫した緑茶の茶葉を保存に耐えられる状態の緑茶に加工する工場になる。
日本の伝統飲料である緑茶は、現在、茶葉製品として約3,300億円、飲料製品として約3,100億円の市場規模になっている。なかでも、日本の全清涼飲料中で唯一、毎年消費量を伸ばしている緑茶飲料は、約3兆4,000億円の規模を誇る清涼飲料市場の約1割を占めるまでになった。
一方で、日本で生産されている緑茶の茶葉は年間約9万トンで安定しており、今後は茶葉製品はもちろんのこと、ますます販売競争が激化する緑茶飲料、茶葉の品質とその供給能力の優劣が、さらに重要になってくると同社は分析する。
同社では、緑茶の需要増に対する将来不安を払拭すべく、平成6年、季節が日本と逆のオーストラリアに、同社の100%子会社である豪州伊藤園を設立し、茶産地育成事業を立ち上げ、10年の歳月を経て、ここに生産体制を整えるに至った。
豪州伊藤園が設立された当初より日本品種の苗をオーストラリアに導入し、増殖体制を整えてきたが、現在、ビクトリア州北東部のアルパイン郡、マリンディンディ郡に造成された茶園の規模は68ヘクタールとなり、今年度は5トンの収穫を見込んでいる。今後は茶園面積250ヘクタール、荒茶収穫量1,000トン規模にまで拡大し、工場の規模も生産量の増加に伴って拡張し、スケールメリットを生かした低コスト生産を図る。この荒茶は、米国の需要が今後急激に増加すると予測しており、その原料とする予定であるという。
荒茶の仕上げ加工は日本で行い、年内には「茶十徳」などの同社のお茶の専門店にて、"オーストラリア"産の日本茶が販売される予定で、これからは一年に二度、新茶を味わうことができるようになる。また、今後はアメリカへの輸出やオーストラリア国内での販売も検討している。
国内需要の増加や、海外輸出を目指したうえで、スケールメリットのある海外における茶葉の大量栽培の体制を整えてきたことにより、日本国内、海外の各拠点を見越した多数の販売チャネルでの販売に対応できるようになる。今後、世界各地の販売拠点における販売拡大戦略のため、荒茶の仕上げ加工に海外拠点の新設や、荒茶、製品の輸送経路、または海外現地での販売店舗の設立、プロモーションなど、各流通網を整備し、各拠点での需要に応じたロジスティクス的販売戦略を行ってくると予想される。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 14:19| 知識