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2018年02月09日

【流 通】10分ごとに更新する気象予測手法を開発


理化学研究所(理研)計算科学研究機構データ同化研究チームの三好建正チームリーダーと本田匠特別研究員、気象庁気象研究所の岡本幸三室長らの共同研究グループは、スーパーコンピューター「京」(※1)と気象衛星ひまわり8号による観測ビッグデータを用いて10分ごとに更新する気象予測手法を開発し、台風や集中豪雨、それに伴う洪水の予測への有効性を確認した。

2015年7月7日に運用が開始された静止気象衛星ひまわり8号は、従来の衛星ひまわり7号の約50倍のビッグデータを生み出す高性能センサを搭載し、10分ごとに丸い地球全体を撮像する。これまで、静止気象衛星から観測される赤外放射輝度(※2)データを、雲の領域(雲域)も含めた全天候で数値天気予報に直接利用することは、困難であった。このため、気象庁など世界の現業の天気予報センターの数値天気予報システムでは、連続する雲画像から雲の動きを追跡して推定する風向・風速や、雲域を除く晴天域の赤外放射輝度データの利用が主に行われてきた。

今回、共同研究グループは、ひまわり8号の10分ごとの赤外放射輝度データを、雲域も含めた全天候で数値天気予報に直接利用することに成功し、その有効性を実証した。ひまわり8号赤外輝度観測の「データ同化」により、2015年最強の台風第13号(Soudelor)の急発達の予測が大幅に改善したほか、2015年9月、関東・東北豪雨の雨量予測が改善し、その結果、鬼怒川の流量の予測も改善した。豪雨による洪水や土砂崩れなどの災害リスクを一刻も早く捉えるには、刻々と得られるデータを取り込んだ精度の高い天気予報が有効。ひまわり8号の高性能センサによる10分ごとのビッグデータを生かすことで、これまで1時間ごとに更新されていた気象予測が、10分ごとに更新できるようになる。

今回の成果は今後、10分ごとに刻々と得られる新しい予測データを有効に活用するための防災体制などの技術的・社会的課題を解決することで、豪雨や洪水のリスクを一刻も早く捉え、将来の天気予報に革新をもたらすと期待できる。

同研究は、HPCI一般課題「ゲリラ豪雨予測を目指した「ビッグデータ同化」の研究(課題番号:hp150019、hp160162、hp170178)」、文部科学省フラッグシップ2020プロジェクト(ポスト「京」の開発)「ポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題」における重点課題(4)「観測ビッグデータを活用した気象と地球環境予測の高度化(課題番号:hp160229、hp170246)」(課題責任者:海洋研究開発機構・高橋 桂子)および公益財団法人 計算科学振興財団研究教育拠点(COE)形成推進事業における研究課題「複数の災害リスク評価に基づく都市計画に資する計算科学研究」(研究代表者:富田 浩文)の支援を受けて行われた。

※1 スーパーコンピューター「京」
文部科学省が推進する「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築」プログラムの中核システムとして、理研と富士通が共同で開発を行い、2012年9月に共用を開始した計算速度10ペタフロップス級のスーパーコンピューター

※2 赤外放射輝度
地球から放射される赤外線の明るさ(輝度)。地面や海面、雪氷面など、地球表面から上向きに放射された赤外線は、大気の複雑な放射過程を経て、宇宙に達し、ひまわり8号は静止軌道からこれを捉える

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:45| 流通